イーサネットの規格
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● 規格名から分かる3つの情報
 イーサネットには100BASE-TXといった通信規格があります。最近ではギガビットイーサネットに対応した1000BASE-Tを採用するパソコンが増えていますが、多くの人はまだ1OOBASE-TXという規格でLANを構築していると思います。lOOBASE-TXが普及する以前は1OBASE-Tという規格が主流でした。これ以外にも、IEEE802.3では多くのイーサネット規格が策定されています。
 100BASE-TXや1000BASE-Tといった規格名には、「伝送速度」「信号種別」「伝送媒体」という3つの情報が含まれています(図1)。伝送速度は規格名の先頭に表記される数値で、Mbps単位の通信速度を表します。たとえば、100BASE-TXなら、1OOMbpsの通信速度を持つ規格ということです。
 信号種別は「べースバンド伝送」(BASE)か「ブロードバンド伝送」(BROAD)のどちらであるかを示すものです。べ一スバンド伝送は、伝送媒体にイーサネット用の信号のみを流す方式で、ブロードバンド伝送は、複数の周波数帯域を利用してイーサネット以外の情報も同時に送信する方式です。ブロードバンド伝送は。1本のケーブルで複数のチャンネルの番組を同時に送信するケーブルテレビなどで利用されています。
 伝送媒体は、当初はケーブル長を表していましたが、最近は「T」ならツイストペアケーブル。「F」なら光ファイバーケーブルのように。ケーブルの種別を表すことが多くなっています。

● イーサネットで使われるケーブルの種類
 イーサネットで用いられるケーブルには、同軸ケーブルとツイストペアケーブル、光ファイバーケーブルの3種類があります(図2)。これらのうち現在もっとも多く利用されているのがツイストペアケーブルです。同軸ケーブルはテレビのアンテナなどにも利用されており、1OBASE-5や10BASE-2といった規格で使われています。同軸ケーブルは信号を伝送する銅線を、プラスチックの絶縁体とシールドと呼ばれる網状の素材で覆ったもので、外部からの干渉に強いというメリットがあります。そのため長距離まで信号を送ることが可能です。ただし同軸ケーブルは固く、高価というデメリットがあるため、LANが家庭内で普及する妨げとなっていました。
 イーサネットで使用するツイストペアケーブルは、8本のケーブルを2本ずつより合わせた(計4組)もので、1OOBASE-TXや1OOOBASE-Tなど現在主流となっている規格で利用されています。2本をより合わせることで銅線から発生する磁場が打ち消され、干渉を防ぐ構造になっています。同軸ケーブルに比べ柔らかく、安価なのがメリットです。
 最後の光ファイバーケーブルは、透過率の高いガラスやプラスチックで作られたコア(芯)と、それを覆うクラッドの二重構造になっています、それをシリコンやナイロンなどで被膜したものが光ファイバーケーブルです。信号に光を用いるため、干渉に強く。高速なのが特徴です。ここでは詳しい説明はしませんが、信号に利用する光の種類によっていくつかのモードが存在します。

● ツイストペアケーブルのカテゴリー
 イーサネットケーブルとして主流のツイストペアケーブルについてさらに詳しく見ていきましょう。ツイストペアケーブルはノイズ低減のためのシールドの有無によって2種類に分けられますシールドが施されていないタイプを「UTP」(Unshielded Twisted Pair cab1e)、シールドが施されたタイプを「STP」(Shielded Twisted Pair cab1c〕と呼びます。一般に市販されているのは安価なUTPで、STPはノイズの多い屋外や工場内などで用いられます。ただ光ファイバーケーブルの普及により、STPは徐々に利用されなくなってきているようです。
 またイーサネットケーブルを購入する際や利用する際に、「カテゴリー3」や「カテゴリー5」などの表記を見たことはないでしょうか。ツイストペアケーブルはいくつかのカテゴリーに分けて規格化されています。このうち、イーサネットでおもに利用きれているのはカテゴリー3、カテゴリー5、カテゴリー5e(エンハンストカテゴリー5)、カテゴリー6です。
 それぞれに最大伝送速度が規定されており、利用できるイーサネット規格が決まっています。具体的にはカテゴリー3の最大伝送速度は1OMbpsで、1OBASE-Tで使われます。カテゴリー5は1OOBASE-TX、カテゴリー5eは1OOBASE-TXと1OOOBASE-T、カテゴリー6は1OGBASE-Tなどに対応します。上位のカテゴリーのケーブルは下位のケーブルの代替として使うことが可能で、たとえばカテゴリー6のUTPケーブルであれば、1OBASE-Tや1OOBASE-TX,1OOOBASE-Tでも利用できます。
 なおイーサネットケーブルは接続の方法により、ストレートケーブルとクロスケーブルに分けられます。ストレートケーブルはパソコンとパソコン以外のネットワーク機器(ハブやルータなど)を接続するためのケーブルです。(正確にはネットワークインターフェイスとハブの接続)。一方、クロスケーブルはパソコン同士を接続する際やハブ同士(ハブのカスケード接続)で利用します。ちなみにストレートケーブルとクロスケーブルは図のようにコネクタ部分で判別できるので覚えておくと便利。



-- イーサネットの規格 --

規格名 ケーブル 最大長 備考
10BASE-5 シック同軸ケーブル
(直径10mm)
500m IEEE802.3として標準化されている。基幹LANとして利用されていたが、現在はほとんど利用されていない。
10BASE-2 シック同軸ケーブル
(直径5mm)
185m IEEE802.3eとして標準化されている。10BASE-5の基幹LANにぶら下げるようにしてLANを構築していたが、現在はほとんど利用されていない。
10BASE-T カテゴリー3 100m IEEE802.3iとして標準化。カテゴリー3以上のツイストペアケーブルとハブを使ったスター型のイーサネットで利用される。現在は、100BASE-TXに置き換えられている場合が多い。
100BASE-TX カテゴリー5/5e 100m IEEE802.3uとして標準化。カテゴリー5以上のツイストペアケーブルとハブを使ったスター型で利用される。現在、もっとも普及しているイーサネットの規格である。
100BASE-FX 光ファイバーケーブル
(1300nm)
2000m 光ファイバーケーブルを利用してネットワークを構築するイーサネット。IEEE802.3uとして標準化されている。基幹LANとして利用されることが多い。
1000BASE-T カテゴリー5e/6 100m カテゴリー5e以上のツイストペアケーブルとハブを使ったスター型で利用される。IEEE802.3abとして標準化。
1000BASE-SX 光ファイバーケーブル
(850nm)
550m 光ファイバーケーブルを利用してネットワークを構築するイーサネット。IEEE802.3zとして標準化されている。
1000BASE-LX 光ファイバーケーブル
(1300nm)
5000m 光ファイバーケーブルを利用してネットワークを構築するイーサネット。IEEE802.3zとして標準化されている。





-- ツイストペアケーブルの主なカテゴリー --
名称 主な用途
カテゴリー1 電話線
カテゴリー2 ISDN
カテゴリー3 10BASE-T
カテゴリー4 ATM、トークンリング
カテゴリー5 100BASE-TX
カテゴリー5e 100BASE-TX、1000BASE-T
カテゴリー6 1000BASE-T、10GBASE-T
カテゴリー7 10GBASE-T

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